FC2ブログ
Loading…

石原の佐野眞一バッシングに見る「不純な動機」

Posted by Ikkey52 on 27.2012 ジャーナリズム   0 comments   0 trackback
 石原慎太郎東京都知事が、知事辞任と国政選挙出馬、新党結成を表明した。自らのイニシアティブで都が買い取ると表明した尖閣が、民主党政権によって国有化されてしまったために、石原特有のパフォーマンスも手詰まりになっていた。息子伸晃を総理に押し上げる作戦も頓挫し、もともと人生観であった「おのれの肉体を使うこと」に回帰したのだろう。都知事辞任会見で石原は、辞表を胸ポケットから取り出してかざして見せた。かつてハマコーら自民党右派の中堅若手で青嵐会を結成したとき、石原が率先して血判状を取った話を連想した。
 戦後文壇に彗星のように登場したイケメンの学生作家が、政界にうって出てから44年の歳月が流れた。年代は違うが、同じ一橋の後輩で、やはり作家から転じた政治家に、新党日本代表の田中康夫がいる。知事、国会議員としての田中が、雑誌やテレビには登場しても、実質的な作家活動は封印してきたのと対照的に、石原は政治家と作家の看板を御都合主義に使い分けてきた、と喝破したのはノンフィクション作家の佐野眞一だった。
 その佐野眞一の筆になる橋下徹・日本維新の会代表の評伝連載が、橋下の猛抗議を受け、掲載誌週刊朝日の編集長判断で、第一回限りであっけなく打ち切られた。リングに立った相手が最初の一撃であっさりリングを降りてしまった以上、バトルにすらなっていないのだが、リスクがないと見た石原は直ちに参戦した。友人橋下への助太刀という形をとって、個人的な意趣返しが果たせると踏んだからだ。だから、助太刀とはいっても石原は、当事者の橋下と狙いが違う。橋下はメディアの封殺、石原は佐野の信用失墜だ。
 石原の佐野攻撃は二つの疑惑から成る。一つは、佐野が持つという「同和や被差別部落に強い偏見」であり、もう一つは、佐野作品にあるという「深田祐介や山根一眞らからの盗用」だ。
 佐野には、『てっぺん野郎―本人も知らなかった石原慎太郎』という大部の評伝があり、石原は文字通り素っ裸にされている。佐野の取材ぶりは、山下汽船子会社の重役にまで上り詰めた石原の父、潔が若き日、単身樺太行きの木材運搬船に乗り組み、数度の長期出張をした、その足取りをたどるだけのために、サハリンの果てにまで足をのばすほど徹底していた。佐野からインタビューを受けた石原は、最近の日本文学衰退を嘆く文脈のなかで、「あなたがやっているみたいに綿密な調査もないし…」と佐野の取材力には脱帽しているほどだ。評伝を書き上げるにあたっては、三代前の先祖までさかのぼる取材を自らに課している佐野が、石原家のルーツを洗うなかで、維新以前の身分を調べることは当然あるだろう。むしろ佐野を批判した会見で石原が、自らのルーツを「武田の流れを汲む没落士族」と表現したことに、かえって差別主義者の臭いを感じた。
 二つ目の盗作疑惑だが、ネットで問題とされた個所を見る限り、引用文献漏れのようでもあり、真相は佐野の抗弁を聞くしかない。ただ、出元が現副知事の猪瀬直樹だとすると、同業者への嫉妬でないことを願うのみ。ところで、『てっぺん野郎』には、初の選挙出馬にあたってナーバスになっている石原が、「盗作疑惑を受けている」と、後見役に頼った当時の総理、佐藤栄作に泣き付き、佐藤は秘書だった下稲葉耕吉(のち法相)らに処理を命じるエピソードが出てくる。佐野は、盗作というより剽窃のようなもの、と深追いはしていない。
スポンサーサイト




  • password
  • 管理者にだけ表示を許可する

trackbackURL:http://ikkey52.blog27.fc2.com/tb.php/87-26c0230a

プロフィール

Ikkey52

Author:Ikkey52
ジャーナリスト 札幌生まれ
父方は、奈良十津川郷系+仙台伊達藩亘理系。母方は東三河豊橋系+肥前鍋島藩系+加賀藩系

ショッピング

トラベル

オークション

最新トラックバック

ラビリンス

デラシネ通信

ブログランキング

ブログランキング

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR