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置き去りにされた闇~オウム事件の未解明部分

Posted by Ikkey52 on 10.2012 書評・事件   0 comments   0 trackback
 世の中、謎のタネは尽きない。一連のオウム真理教事件に関する闇に光を当てた鹿島圭介著『警察庁長官を撃った男』と一橋文哉著『国家の闇』の力作2冊。面白さは格別だった。「捜査は密行が原則」という警察・検察当局の厚いガードをかいくぐって、ジャーナリストたちが、ここまで真相に迫った。
 平田信、菊地直子につづく高橋克也の逮捕でピリオドがうたれたかに見える一連のオウム真理教事件捜査。しかし、筋読みを間違って全く未解決のまま時効を迎えた事案がひとつある。しかもその捜査には当局の威信がかかっていた。國松警察庁長官狙撃事件の闇を鹿島圭介が追う。
 結論からいうと、真犯人である疑いがぬぐえないのは、中村泰(事件当時65歳)という無期懲役囚(現金輸送車襲撃)。オウム信者などではない。東大工学部を中退後、武器を手にした暴力革命を志向し、金庫破りを繰り返す中で警察官を射殺。仮釈放後の足取りは霧の中だが、プロのスナイパーとして立つべく、偽造パスポートで渡米した先で訓練を繰り返したのは間違いない。長官狙撃にも使われた8インチ銃身のコルト・パイソンと、ホローポイント系の357マグナム・ナイクラッド弾は、アメリカでもきわめて入手が難く、入手可能だった時期も限られる。その購入まで捜査当局は確認していた。しかし凶器の銃は太平洋上に捨てられていたため、決定的物証は出ないまま。もともと、南千住署の捜査本部は警視庁公安部が主導した。ブツ読みが信条の刑事部系が中村の存在に行きついたが、「オウムの犯行」という思いこみに縛られた公安畑の幹部に最後までミスリードされてしまった。獄に繋がれた中村への面会を通して鹿島は、「捜査当局内部の闇」をいやおうなく直視させられる。
 事件としては解決したが、背景の謎が残ったままになっているケースもある。オウム真理教科学技術大臣だった村井秀夫刺殺事件。殺人現場が各社のテレビカメラによって撮影されるというテレビジャーナリズム史上稀有な事件でもあった。包丁で刺してからひねっている。傷を深くするプロのやり口だ。単独犯として捕まった暴力団員Jは懲役12年の刑を務めてすでに出所している。
 事件前のJにオウムを格別に憎悪するような思想的背景など全くない。Jに村井刺殺を唆したとされる若頭は罪を逃れている。若頭の裁判で途中から沈黙を守ったJは、身の危険を感じていたようだと一橋文哉は見る。なぜなら、犯行を教唆された際、若頭から「ある人がお前に期待している」と、大物の存在を匂わされていたからだ。村井は教団の広告塔のひとりであったが、一方でオウムの闇の部分に深くコミットしていた。村井の口を封じておく緊喫の必要がだれにあったのか。一橋は、黒い資金源としてのオウムと、山口組系暴力団との関係に焦点を絞る。サティアンで密造したオウム製覚せい剤の売りさばき、あるいは横流し…、教団施設建設を巡る予定地住民とのトラブルやその仲介…、暴力団が介在する余地はいくらでもある。山口組系暴力団内部の不協和音も複雑に絡み、その余波は時を超えて唐突な島田紳助引退にもつながっていると一橋は類推する。
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