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南沙列島への苦い旅~アリの一穴…マレーシア・ルート

Posted by Ikkey52 on 09.2012 アジア・冒険   0 comments   0 trackback
  南シナ海に点々と浮かぶ南沙(スプラトリー)諸島がまたきな臭い。フィリピンが同諸島の資源開発準備をすすめていることに、中国と台湾が猛反発しているからだ。共同通信が伝えた。同諸島は南北800キロにわたって広がる約100の島々から成る。戦前、インドシナ半島を殖民地にしていたフランスが一部を実効支配し、のちにアジア進出を図る日本が植民地だった台湾・高雄市の版図に編入、戦火拡大による撤退までリン鉱石採掘などを行った。戦後、石油や天然ガスが豊富とされると、中国、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、台湾がそれぞれ領有権を主張し争ってきた。 

 かつて、南沙列島に苦い旅をしたことがある。限られた時間内に南沙諸島の一角を撮影し日本に伝送する仕事だ。発注者は、香港、バンコク、ハノイ、シンガポール、いずれの情報集約地にも手配したが脈は薄い。もしかして、と淡い期待が持てるマレーシア・ルートを推薦した自分に仕事が回ってきた。まず、マニラからボルネオ島北部の観光都市コタキナバルに入る。公的機関に正式に許諾を求めている暇はない。とにかく映像入手ができればいいので、迷わずチャーター可能なヘリかセスナを所有するローカル航空会社をあたった。自国領土というならば、上空の飛行に許可などいらないだろうと踏んだ。ところが適当な機種がない。これでどうだといわれたのは20人がたっぷり乗れる双発機で、手持ちの取材費では到底カバーできない。途方に暮れて、夕方近く港を歩いていると、そこはヨットハーバーになっていて大小のクルーザーやボートが所狭しと係留されている。所有者をあたるなかで、長い距離にも耐えられそうな一隻の高速ボートを見つけ、フィリピン人オーナーと交渉、翌朝出発の約束を取り付けた。決め手は、当方のクルーに同国人の助手がいたこと。こういう時に、フィリピン人が発揮する共助の精神は半端ではない。地獄に仏と、両手を合わせたくなった。

 目指すは片道2時間ちょっとかかる南沙列島最南端の島。資料によると海洋自然公園とされ自然保護監視員が駐在している。満タンの燃料プラス帰路分をドラム缶ごと積んで重さを増したスロットル全開の高速ボートは、走るというより水切石のごとく、飛んでは落ち、飛んでは落ちを繰り返す。最悪な乗り心地に耐えるのみ。目的の小島には小型船しかつけられない木製の小桟橋があった。上陸すると、Tシャツ姿の男たちがまるで待ち構えていたかのように数人姿を現した。突然訪問して驚かせたことを詫びようとした瞬間、彼らがマシンガンらしきもので武装していることに気付いた。軍事組織のカムフラージュに違いない。「自然監視員の方ですか。我々は映像を撮りにきたテレビクルーだ」と話しかけてみたが、相手は銃こそ振り回さないものの、とっとと帰れと冷たいジェスチャーを繰り返す。粘るのは危険と判断し、交渉早々と岸を離れた。
 
 とはいえ、手ぶらでは帰れない。ジャングルからの狙撃の恐怖と闘いながら、こっそり小島の裏手に回って素早くレポートを収録、大海原に出てやれやれと思ったとき、今度は北に向かう中国軍艦と遭遇。肉眼で視認できる以上、向こうもこっちを見ている。操縦桿を握るフィリピン人オーナー氏も顔色を変えた。中国艦からできるだけ遠ざかろうと高速ボートの進路を東にとる。艦影が消え、1時間も走ったころにまた一難。高速ボートのエンジンが咳き込み始め、ついに止まった。水切石が突然、木の葉に変わった。甲板の床を開けてオーナー氏がエンジンルームに体を入れたまま、なかなか出てこない。伝送の締め切りは迫っている。このまま漂流して翌日の飛行機を逃せば仕事は万事休すだ。いや、嵐が来たらひとたまりもない…。そんなことが頭をかすめる。エンジンがかかったときは、全身から力が抜けた。
 
 思えば、あのコタキナバルでは偶然、年に一度の政権党の全国党大会が開かれており、ホテルというホテルはどこも満室。予約なしに突入した我々は高価なカメラ機材一式を抱えて野宿するわけにもいかず、中国系貧民専用の木賃宿に潜り込んだが、蚕棚状のベッドのある部屋に知らない同士が何人も詰め込まれ、一晩中、物盗りの恐怖と戦った。いろいろあって、忘れられないボルネオのリゾート地体験だった。
 4月17日現在、南沙諸島スカバロー岩礁付近にてフィリピン海上警備隊艦艇が中国艦艇とにらみ合い中。
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