FC2ブログ
Loading…

釜山・古里原発の12分間 ~全電源喪失の恐怖ふたたび~

Posted by Ikkey52 on 25.2012 原発   0 comments   0 trackback
 韓国の原子力安全委員会は3月13日、韓国南部の釜山にある古里(コリ)原発1号機で定期点検中に、外部電源が供給されず、非常用発電機も作動しない状態が12分間続いていたのに、電力事業者側がこの事実を隠し、一ヶ月以上も報告しなかった、と発表した。   
 
 全電源喪失は2月9日の夜、電源関連装置のテスト中に起きた。朝鮮日報電子版によると、事故当時、古里1号機は整備のために発電を停止中だったが、内部には核燃料が残っていた。停電事故が発生すると、核燃料を冷やすための冷却装置も当然止まった。  
  停電が続いた12分間で、原子炉内の冷却水の温度は36.9度から58.3度にまで一気に上昇した。もしこのまま電源供給ができなければ、冷却水が沸騰して蒸発し、核燃料が溶けて原子炉の床を突き抜ける炉心溶融(メルトダウン)が発生していた可能性が高い。フクシマの事故が思い起こされる。原子力安全技術院のパク・ユンウォン院長は調査結果を発表する際「停電してから核燃料が溶け出すまでには54分ほど時間がかかるが、当時は核燃料も安定しており、放射能も流出していなかった」と述べた。
 
 問題の12分間のあとにも恐ろしいことが続いた。全電源喪失を隠したい発電所側は、翌日もその翌日も、まるで何もなかったかのように、原子炉内の核燃料を交換する作業を予定通り行わせたというのだ。この時点で2台ある非常用ディーゼル発電機の1台はまだ整備中で、もう1台は停電のとき稼働しなかったものだ。
 
 地図を開く。古里原発は釜山の蔚山側というから、対馬の北端のほぼ真北あたりだろうか。地図上の目測だが、古里から福岡まで200キロ、対馬だと100キロもないだろう。今度の事態を対岸の火事としか見ない人は、まっとうな想像力というものを欠いている。フクシマに例えれば、福岡は東京、対馬は栃木なのだ。放射能による「目に見えない被害」は、国内が発生源とは限らない。海峡の存在にごまかされてはダメだと思う。北海道の住民が、六ヶ所村再処理工場や大間原発、東通原発をしょせん青森県の話と思うなら、推進派の思うツボだ。
 
 東京新聞によると、古里1号機は07年に営業運転開始から30年という設計寿命を迎えたが、さらに10年の延長運転に入っていた韓国最古の原発。フクシマ事故の教訓を受けて、釜山では古里の廃炉を求めるデモや集会が頻繁に開かれていたという。韓国の原発依存度は日本より高く約4割に達する。
 この週末、またしても古里からニュースが飛び込んできた。隣接する新古里原発2号機が、水蒸気発生装置に水を供給するポンプのトラブルで23日夜、自動停止した。新古里2号機は年内の営業運転開始を目指して試運転中だった。
 
 隣国の出来事ではあるが、この一連の古里のトラブルと不祥事は、フクシマの教訓の風化がすでに始まっていることを象徴しているように思えてならない。日本では、エネルギー源として原発を利用することの是非を国民に問おうとせず、大飯原発になし崩しに通行手形を与えるような政策判断が、マスメディアに批判らしい批判すら受けることなく、既成事実化しつつある。そのことに、あらためて強い危機感を抱いている。
スポンサーサイト




  • password
  • 管理者にだけ表示を許可する

trackbackURL:http://ikkey52.blog27.fc2.com/tb.php/53-c429d49a

プロフィール

Ikkey52

Author:Ikkey52
ジャーナリスト 札幌生まれ
父方は、奈良十津川郷系+仙台伊達藩亘理系。母方は東三河豊橋系+肥前鍋島藩系+加賀藩系

ショッピング

トラベル

オークション

最新トラックバック

ラビリンス

デラシネ通信

ブログランキング

ブログランキング

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR