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「渋谷暴動・警官殺害容疑者逮捕」で仄見えるもの

Posted by Ikkey52 on 08.2017 事件   0 comments   0 trackback
 日本の数多い指名手配犯のなかで、最も古くから逃げていた中核派の活動家、大坂正明が、ついに広島県警に逮捕された。全国の盛り場や駅、公園、警察施設などあちこちに掲出されてきた、痩せて神経質そうな若者の白黒写真は、妙な言い方だが、風景の一部として市民の日常に溶け込んでいた。46年という月日はそれほど長いものだ。

 日本は2010年から、人を死亡させた罪であって法定刑の最高が死刑に当たるもの(=殺人罪)に限り、時効を廃した。ひとくちに時効と行っても、刑法上では検察の公訴権が消滅する「公訴時効」と、確定した刑の執行がストップする「刑の時効」のふたつがある。1971年に起きた渋谷暴動で警官殺害容疑に問われる大坂は、この間、ずっと逃亡を続けていたので、問題となるのは公訴時効のほうだ。当時、殺人罪の公訴時効は15年。2010年に法改正はあったが、法には不遡及の原則があるから、本来ならとっくに時効が成立している。

 ではなぜ、大坂はその後も追われ続けたのか。渋谷暴動の警官殺害事件では、大坂はじめ7人が共犯の容疑をかけられ、大坂以外の6人が1975年夏までに逮捕・起訴された。ところがその中のひとりで、一審の求刑(懲役15年)を不服として控訴していた奥深山幸男が、二審途中の1981年に精神疾患のため公判停止となり、以来そのままの状態となっている。

 つまり大坂の共犯のうち、奥深山の裁判だけがいまだに結審していない。刑事訴訟法第254条2項は、共犯者のなかにひとりでも起訴されて結審していない者がいれば、時効は停止すると規定しているので、大坂が足掛け46年逃げ続けても、彼の時効時計は奥深山の起訴時点で止まったきり、その後1秒たりも進まなかったことになる。したがって、2010年4月27日の改正法施行で殺人の公訴時効が撤廃された段階でも、大坂の時効は完成していなかったから、彼は事後犯となんら変わりない扱いを受ける理屈だ。

 それにしても大坂逮捕の報を聞いて、真っ先に勘繰りたくなったのは、反対論が勝るなかで国会審議真っ盛りの共謀罪法案との関連だ。あまりにもタイミングが良すぎないか。大坂は筋金入りの中核派革命軍メンバーで、逃亡支援も組織ぐるみで実施されていたとみられるからだ。ある情報によれば、捜査当局は大坂の生存は遅くとも数年前の段階で掴んでいたという。容疑者をできるだけ泳がせて、後ろ盾になっている組織まで一網打尽にするのは公安警察の典型的手法だが、では今度の身柄確保の決断は誰が下したか。政治絡みのジャッジの臭いがプンプンする。

 共謀罪法案に関して、ここで深入りするつもりはないが、新しい法律が、無差別テロから日本を守る必須条件とは考えたことがないし、現行法の下で国際条約に加盟できないとも思わない。政府の説明にいくら耳を傾けても説得力を感じていないのは事実だが、かといって、共謀罪法案の成立で、直ちに治安維持法下同様の息苦しい監視社会が現出するというのも、手垢がついた常套句にしか聞こえない。

 話を大坂に戻せば、「敵の手に落ちた革命軍兵士」の彼に一般的意味の反省などは期待できない。確信犯であるからだ。おそらく取調にも完全黙秘を通すだろうから、自白もまず得られまい。当時の捜査員も誰もいない。目撃者も探し出すのは難しいし、証言を得るとなればさらに厳しい。現場は群衆に踏み荒らされ、指紋も出ないし、DNA鑑定技術もそもそも鑑定試料がなければ生かせない。

 時効をなくすというのは、そういうことだ。被害者の応報感情の満足を別にすれば、半世紀近く前の事件を今裁いて、真実追求という裁判の目的を十全に遂げるのは、かなりハードルが高そうだ。共謀罪論議を意識していえば、右であれ左であれ、例え虚無的なテロリストであれ、その人の内心や思想それ自体は、けして裁けないし、裁かせてはいけない。

 1970年安保前後の日本の大衆、特に学生大衆が持っていた政治に対する関心の高さや心情の熱っぽさは、今ではちょっと想像もできないほどだった。だからこそ、当時すでに世界一の大都会だった東京の真ん中で「暴動」と呼ばれる事態が惹起したのだ。 権力と反権力が街頭でギシギシと音を立てて軋み合い、物理的衝突を繰り返し、それを遠巻きにする一見非政治的な人々にしても、必ずしも秩序維持派べったりではなかったのも確かなことだ。

 そうした空気を知らない世代が、権力による安手のプロパガンダに易々とからめとられ、大坂逮捕を共謀罪論議と単純に結びつけて受け止めるとすれば、非常に危険だ。せめて思想そのものが裁かれることのないよう公判廷の成り行きを注視したい。
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