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北朝鮮認識を誤らせた大新聞の筆法…「過去の傾向記事」を読む

Posted by Ikkey52 on 06.2017 ジャーナリズム   0 comments   0 trackback
 かつて北朝鮮を地上の楽園として描いた罪は、日本のほぼすべての一般紙にあった。例えば、1959年、クリスマスの朝に配達された朝日新聞。「『ばく進する馬』北朝鮮 よくはたらく人々 飛行場変じてアパート」と題して以下のようにレポートした。

 「こんなに働いてみんな不満はないのかときくと、ある人はこういった。――『冗談じゃない。働けば働くほど生活が目に見えてよくなる。ボロボロの家から近代的アパートに移れた。家賃はタダみたいに安い。米もタダみたいだ。目に見えて生活がよくなって行くのでうれしくてみんな働きたくなる』」…。

 こうした臨時特派員電に煽られて、日本から約10万もの人が北朝鮮の帰国船に乗り込んだ。彼らの人生はその後、どう暗転したのか。上記の記事から四半世紀近く経った1985年05月23日の同じ朝日朝刊。現地入りした記者による「サービス革命 消費多様化めざす」という記事を掲げた。

  「…平壌市中心部の『直売店』に行った。…カウンターの向こうに、戸棚、鏡台といった家具、ノートをはじめとする文房具、毛糸で編んだセーターや手袋、ベビー用品、靴などが並んでいる。…にぎわっているのはこれだけではない。『清涼飲料店』の看板を掲げたビアホールも、平壌第一百貨店も同じだった。どうやらこの国の人々は、衣食住の最低水準を満たし、より多様で質の高い暮らしを求め出したのではないか」。

 肉親から北への帰国者を出し、それが態のいい人質だと気づいた人々が重い口を開いていたので、1980年代半ばにはもう、新たな帰国希望者は出なかった。帰国者のなかには、日本からの仕送り品で売り食い生活を送る者もいた。同時に「平壌は金王朝に選ばれたエリートしか住めない特殊都市」だとも広く知られていた。記事を書いた記者がそれさえ知らなかったとは思えず、ここまで肩入れするのはやはり不可解というしかない。

 日朝国交正常化交渉の再開を受けて、朝日が掲げた社説(「ここから広げたい日朝関係」・1997年8月24日)も綺麗事だ。

  「これによって、日朝関係は本格的な改善に歩み出すのだろうか。…容易な前途ではあるまい。しかし、だからといって、合意の意義は損なわれない。これを手がかりに日朝間の接触をひろげ、朝鮮半島の平和に寄与しうる対話の場を、維持できるからだ。それにはまず両国が、来月をめどに始まる日本人妻の里帰り事業を、人道的な立場から円滑に進めることである」。

  里帰りした日本人妻たちは金王朝に忠誠を誓い、思想堅固な、いわゆる「おりこうさん妻」ばかりで、もちろん生活困窮者などは皆無。色あせた《北=地上の楽園》論を壊れた録音機さながらに繰り返して帰っていった。

 そしてついに、首相の小泉純一郎が平壌に乗り込み、拉致問題が弾ける。2002年09月18日の朝日に政治部長として執筆したのは、のちに社長となり、やがてダブル吉田問題の隠蔽を追及されてその座を降りる木村伊量だ。

  「痛ましい。やりきれない。…かすかな望みは打ち砕かれた。無残な結末に言葉を失う。…いかなる意味でも拉致は正当化できないが、そもそも日朝の不正常な関係は、北朝鮮ができる前、戦前、戦中の35年間にわたる日本による朝鮮半島の植民地支配に始まる。…冷静さを失っては歴史は後戻りするだけである」。

 報道はファナティックに流れてはいけないが、かといって過度に大人(たいじん)ぶれば偽善に堕する。木村は厳しい国民世論を踏まえつつ、ぎりぎりのところで北にも逃げ道を用意するかたちで、朝日の伝統的立場を死守しようとしたのだろう。当然、社内には、もっと踏み込んで書くべきだ、との批判的な声もあったはずだ。

 拉致謝罪ショックの翌年の記事(2003年5月1日)を探すと、朝日の論調がすっかり旧に復しているのがわかる。 「これを好機に動かせ 北朝鮮提案」と題した社説だ。
 
 「北京での米朝中3者協議で北朝鮮が『新しい寛大な解決方法』として示した提案の輪郭が、明らかになってきた。…北朝鮮の提案には、イラク戦争や中国の圧力があってのこととはいえ、いまのまま孤立を深めれば、それこそ体制の危機につながるという切迫感もうかがわれる。いまを好機と見て、北朝鮮の変化を促すために大胆に知恵を絞りたい」。 

 朝日がとんだ楽観記事を掲げてから14年になる。事態はどう動いたか。「体制の危機につながるという切迫感もうかがえる」と診断した北朝鮮は今、金王朝トップこそ代替わりしたものの、ミサイル試射は乱れ打ち状態。異母兄、叔父、軍の重鎮らを非情に次々と粛清し、権力の純化に余念がなく、たとえ関係国間の外交交渉の場が与えられようとも、ゴネ得を狙う腹は以前と全く変わらないだろう。朝日に限った話ではないが、日本の多くの新聞(テレビも含め)は、過去60年の報道姿勢を今度こそ見直すべきではなかろうか。
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