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一流紙の元記者が陥った功名心の罠…映画「トゥルー・ストーリー」

Posted by Ikkey52 on 03.2017 映画   0 comments   0 trackback
 記者たちの世界では、野心を漲らせ、功名心をむき出しにしても、それだけで人格が疑われるようなことはない。ある意味、珍しい商売だ。一般的な読者、視聴者が複数メディアを虫の目で毎日チェックしているわけはなく、したがって、どの社の報道が一番速かったのか、一番深かったのか、などは所詮自己満足だという批判がある。その通りだが、かといって、鎬を削る競争が優秀な記者を育てる苗床となるのも一面の真理ではある。

 2015年の米映画「トゥルー・ストーリー」は、身から出た錆で一流紙記者としての未来を棒に振った男が、一発大逆転の再起を狙って、拘置所で裁判を待つ妻子殺しの容疑者に近づいたものの、重苦しい心理戦に巻き込まれ、きりきり舞いさせられる。実話に基づく。

 マイケル・フィンケルは風采こそ上がらないが、ニューヨークタイムズで今売り出し中の若手記者。最近もアフリカまで出かけ、農場で奴隷労働さながらの体罰がまかり通っていると、筆鋒鋭く追及した署名記事を掲げた。その反響は思いのほか大きく、気をよくしたフィンケルは、ひょっとしたら何かのノンフィクション賞が獲れるかも、とひそかに己惚れる。ところが編集局は、後日、記事の捏造に気づく。フィンケルは厳しい査問のすえ社を追われ、雪深いモンタナの田舎に帰って悶々とした日を送る…。

 やがてフィンケルは、オレゴン州で妻子殺しの容疑者として拘置所に繋がれ、裁判を待つ身のロンゴという男が、逮捕前メキシコに逃亡中、自分の名と当時の肩書を騙っていたのを知って興味を持ち、接見に向かう。「なぜ自分の名前を?」と尋ねる初対面のフィンケルに対して、ロンゴは「あんたの記事が好きだったんだ」と素朴に応えたが、その一言は賞賛が大好物であるフィンケルの心のツボを見事に射抜く。また、素直に事件の真相を騙ろうとしないロンゴの思わせぶりな態度も、フィンケルの取材マインドに火をつけた。

 彼は頭を巡らせた。「ロンゴは事件に関して言うに言えない秘密を抱え込んでおり、真相は警察や検察官の筋読みとは違っている。自分の取材力をもってすれば、ロンゴは心を開き本当の話(トゥルー・ストーリー)を打ち明けるだろう。それが冤罪ともなれば出版に値するし、本は必ず売れる。ジャーナリストとして自分は華々しく再出発できる」。そう単純に信じて、のめり込むようにロンゴとの接見を重ねて行くうち、次第に野心の鬼と化すのだが、蓋を開けた裁判はフィンケルが予期しない方向へ…。

 演出は無骨そのもので、隠し味やどんでん返しがあるわけではない。冒頭近く、フィンケルがニューヨークタイムズの編集幹部から受ける査問で、記事捏造の嫌疑を認めながら、「読者が喜ぶ記事を書いただけだ」と虚しい言い訳をするシーンがあるが、それが唯一、伏線らしい伏線になっている。小から大へ、企業転職を繰り返すことで出世の階段を上るアメリカの若い活字ジャーナリストのヒエラルヒーにあって、ニューヨークタイムズの記者職はいわば頂点のひとつ。上昇志向が強い記者たちのなかでも勝ち組だ。だから、その地位を維持するために相当なプレッシャーを感じるはずで、ひょっとしたら、真実の追求よりも、読者の受けを優先するような倒錯に、つい足を取られてしまうのだろうか。
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