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アフリカの果ての現実を編み込む…『暗殺者の正義』

Posted by Ikkey52 on 01.2017 文芸批評   0 comments   0 trackback
 アフリカに生まれた新しい国、南スーダンが、この間ずっとニュースの焦点になっている。国連PKOに日本の自衛隊が施設部隊と司令部要員を派遣しており、議論がくすぶる駆け付け警護や悪化が続く現地の治安状況が絡み合い、国会で政治問題化しているからだ。乱暴な言い方を許してもらうなら、そもそも南スーダンに限らず、ディープなアフリカに絶対安全地帯などない。そこに足を踏み入れる目的が平和維持活動だからといって、戦闘状態に巻き込まれる恐れのある隊員たちに「べからず集」を押し付るのは如何なものか。武器使用を云々する平和ボケした日本の常識を当てはめても、およそ問題の答にはならない。

 アフリカの治安が悪いのは、大国がさまざまな思惑で表から裏から世界標準の武器、火器、弾薬を大量に持ち込み、それが現地武装勢力間の共食いや複雑な合従連衡に伴って、広範にばらまかれ、山賊レベルのならず者たちにまで行き渡っているからだ。狂気の独裁者が一国のリーダーに長く君臨する例は、アフリカでは珍しくもないが、それを可能にしているのは、血生臭い弱肉強食の論理だけだ。

 スーダンを舞台にした小説に出会うのは、たぶんマーク・グリーニーの『暗殺者の正義』が自分にとって初だと思う。派手なアクション小説は、どちらかといえば、趣味ではないが、自分のようなメカ音痴にも戦闘装備の優劣をわからせてくれる作家の力量には舌を巻いた。時代背景は、執筆の時期や話の流れから考えて、スーダンから南スーダンが分離独立を果たす前夜と思われる。主人公のジェントリーは、殺人罪で服役中のアメリカの刑務所からCIA特殊活動部に徴募されたプロの暗殺者。凄腕を買われ世界規模に飛び回るが、突然CIAから解雇されたばかりでなく、「目撃しだい射殺」の対象にされる。

 CIAの銃弾を浴びる危険を避けながら、民間の非合法組織から殺人受注を受けるフリーランサーになったジェントリーは、サンクトペテルブルクで雇い主であるロシア・マフィアの親玉から、スーダン大統領の暗殺を依頼される。諾否の回答期限を翌日に控えたジェントリーは、不意を突かれてCIAの元同僚部隊に拉致され、大統領を暗殺ではなく拉致してくれれば、「目撃しだい射殺」の指令を解除してやると持ち掛けられる。熟考の末、雇い主の依頼を受けたことにして、CIAの意向に沿おうと決めたジェントリーは、ロシアの輸送機要員に化けて現地入りするが、緻密に練り上げたはずの計画は次々と狂って行き…。

 邦題が『暗殺者の正義』とあるように、ジェントリーという男、フリーランスの立場を生かして大義名分のある殺ししか請け負わない。生き残るための技術や肉体の鍛錬には一分の隙も無いが、大事な作戦計画を途中でうっちゃって、自分の邪魔をするかもしれない行きずりの女性を、現地官憲の手から救おうとして、命まで張るような妙にヒューマンなところがある。
 
 アフリカの地下資源は無尽蔵であり、大国はそれを自国の影響下に組み敷こうと鎬を削る。中国が幅を利かせる本作中のスーダンもまた例外ではない。スーダン大統領を暗殺するのと、拉致して公の場で裁くことの分かれ目は、スーダン政府をロシアに靡かせるか、アメリカを利するのか、あるいは中国傾斜に拍車をかけるのか、という大国による資源外交戦略の反映にある。読後、日本が南スーダンPKOから、どうしても得点を挙げたい理由の一端が見えたような気がしたが、深読みが過ぎるだろうか。
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