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サイバー戦からどう平安を救うのか…土屋大洋『暴露の世紀』が問うもの

Posted by Ikkey52 on 15.2017 書評・事件   0 comments   0 trackback
 日本のテレビ放送で機材のデジタル化は、伝送のデジタル化よりずっと早く、東北に遅れて開局した小さな民放で初めて実現したといわれる。手に持てばしっかりと質量を感じるβマックステープから編集機に取り込まれた映像は、質量のないデジタル信号に変えられて編集され、システムの中を流れてアナログ放送波に乗った。完成品を手に持って質量を確かめられなくなった。このとき担当者はきっと、ある種の「こころもとなさ」に押しつぶされそうだったのではないか。

 デジタル情報の交信がすっかり当たり前になった現代では、金銭のやり取りさえ暗号化を前提に誰も躊躇しない。不特定多数に対して極論を吐きたいとき、匿名性を前提にSNSを使えば自分は傷つかない。世の中が少しずつデジタル化していった過程を実体験として知る世代も、当初感じていた「こころもとなさ」を忘れかけている。

 デジタル情報は何度コピーしても劣化しないし、コピーのスピードもアナログ情報とはくらべものにならない。しかしその利便性は、「盗まれていることに気づかない」という盲点を生む。ウィキリークスはオーストラリア出身のハッカー、ジュリアン・アサンジが2006年から主宰する機密暴露のためのウェブサイトだが、約25万点もの米国公電コピーを持ち出してタレこんだマニングという男によって知名度を上げた。マニングはインサイダーだった。

 ハワイにある米国家安全保障局のブランチに出入が許されていたサイバーセキュリティ請負会社の契約社員エドワード・スノーデンが、トップシークレット文書の持ち出しに使ったのはありきたりのUSBメモリーだった。スノーデンは英ガーディアン紙など世界の主な報道機関に持ち出した文書のデジタルコピーを渡したが、それにもUSBメモリーが使われた。スノーデン事件は何の後ろ盾も持たない個人でも国家と渡り合えることを示した確信犯のケースだ。パナマ文書の暴露主は不明だが、やはりインサイダーと見ていい。

 土屋大洋の『暴露の世紀~国家を揺るがすサイバーテロリズム』は、IT革命の果実であるデジタル情報の地球規模の送受信が、実は相変わらず「こころもとないもの」であることを、再認識させようという意図で書き上げられた。

 海底ケーブルというと、いかにもアナログなものに思えるが、デジタル通信の99%までが海底ケーブルを通じて海外とやり取りされている。海底ケーブルこそ現代世界の神経網であり、それが切断されれば世界は大混乱に陥る危険がある。また、情報を海底ケーブルから抜き取りあう形で、大国同士のサイバー戦が活発に展開されてもいる。

 中国の軍事技術が急速に進歩したのは、アメリカへのハッキングの成果だとされる。恐ろしい話ではないか。独裁国家は監視社会化をさらにすすめ、手の内を隠し続ける。そんな中で、民主国家は個人のプライバシーと国家安全保障の間でどうバランスを取るのか。自由な社会であればあるほど、テロリストに暗躍の余地が生じる。答は簡単に見つからない。
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