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「事実は小説より奇なり」と言えるのか?…映画『ニュースの真相』

Posted by Ikkey52 on 14.2016 映画   0 comments   0 trackback
 大学で映像ジャーナリズムを学び、小規模なテレビ局の補助職に潜り込む。契約記者として独り立ちし、仕事ぶりをアピールしながら、より大きな職場めざし次々と移籍を繰り返して行くのが、米テレビマンの典型的なキャリア・パスだ。彼らのゴールは三大ネットワークの看板ニュースショーでプロデューサーを務めること。ただ、せっかく上り詰めた地位を維持するのも視聴率次第。立ち止まれば、直ちに追い落とされる。高給の代償はストレスの無限地獄だ。映画『ニュースの真相』は、そんな一握りの勝ち組で、CBS「60ミニッツⅡ」に実在したプロデューサー、メアリー・メイプスと彼女の調査報道チームが味わう、一瞬の愉悦と取り返しのつかない敗北の物語だ。 

 現職のジョージ・W・ブッシュに民主党のジョン・F・ケリーが挑む04年11月のアメリカ大統領選挙を前に、メアリー率いる調査報道チームはブッシュの軍歴詐称を暴露する超ド級の情報を掴みかける。選挙最大の争点はイラク戦争の評価であり、ブッシュが若き日、ベトナム行きを忌避するため親のコネで州兵空軍に入り、理由不明の離隊期間まであったとなれば、大統領適格性が疑われる。まして、ライバルのケリーはベトナム戦争の英雄。報道はブッシュ陣営に決定的ダメージを与える…。
 取材の詰めを急ぐなかで、選挙が迫る。投票日が近付くと、マスメディアは政治的公平性に重心を移し、独自報道を自粛するのが常道だ。CBS上層部が示したギリギリの放送予定日は投票日2か月前。メアリーは不満だが呑み込まざるを得ない。

 結局、スクープは伝説のアンカーマン、ダン・ラザーのスタジオ仕切りで放送され大反響を巻き起こすが、祝杯の夜が明けると、誤報ではないか、との視聴者意見が次々に寄せられる。チームが最大の寄り所にした軍の内部資料「キリアン文書」は偽物だというのだ。筆跡を調べた専門家は本物だと鑑定するものの、原本ではないため、判断には留保がつく。メアリーやラザーらが再取材に乗り出すと、「キリアン文書」のコピーの提供元である元州兵の農場主が、前言を翻した。彼が告白したコピー入手の真相は限りなく陰謀めいていた。

 調査報道、とりわけ現職大統領を政治的に葬るかもしれない大スクープとなれば、時間のバイアスは大敵だが、有権者の利益を考えれば、選挙後の報道では意味がない。重要情報の裏取りを面談抜きの電話取材で済ます危ないシーンが再三描かれる。ラザーを含めてもわずか5人のチームに収集した情報を慎重に吟味する余裕はなく、インサートビデオの編集のアップさえ本番わずか2分前という綱渡りだった。 

 今年は奇しくもアメリカ大統領選挙の年。『ニュースの真相』日本公開のタイミングとしては絶妙だが、率直にいって中味は物足りない。メアリーの自著『大統領の疑惑』に基づく実録だったため、映画化権にしばられ、自由な表現が阻害されたせいか。特に誤報が動かぬものになったあとの構成からは、前半に漲っていた緊張感が嘘のように消え、メアリーたちがまるでイジメの被害者のように描かれるに至っては、鼻白むしかなかった。

 メアリー役のケイト・ブランシェットは熱演、ラザー役のロバート・レッドフォードは好演といっていいだろう。「辣腕女性プロデューサー映画」という範疇で考えると、ケイト・ブランシェットの遠景には、『ネットワーク』のフェイ・ダナウェイが浮かぶ。『ネットワーク』の女性プロデューサーは、報道の矜持など一顧だにしない視聴率の鬼だった。自由な創作が可能ならば、そんな設定のほうが面白かった。「事実は小説より奇」といえない場合もあるわけだ。
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