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映画「FAKE」…守さんと達也さんの茶番劇

Posted by Ikkey52 on 08.2016 映画   0 comments   0 trackback
 ドキュメンタリーという映像表現は、事実の主観的切り取りなのだから、必ずしも客観的でなくともよい。だからといって、スターリンを神格化する手段としてのニュース映画を、ドキュメンタリーとは呼ばない。プロパガンダの罠からドキュメンタリーを救うのは、ただ作家自身の厳しい内省であり、具体的には、「自己満足に陥っていないか」、「素材に酔っぱらってはいないか」という間断のない自問だろう。その点、森達也が監督した映画「FAKE」は、果たしてどうだったのか。

 内容を端的にいえば、あの佐村河内守とその妻香が住むマンションへの密着記だ。ナレーションはなく、主に佐村河内夫妻と森のやり取りで綴られる。取材開始にあたり、森は佐村河内の逡巡を抑えようと次のようなエクスキューズを発する。「僕は新垣さんにも神山さんにも会っていませんから」と。新垣さんとは、佐村河内のゴーストライターをしていたとされる新垣隆ことであり、神山とは、新垣の独占インタビュー記事『全聾の作曲家はペテン師だった!』を発表してこの問題に火をつけ、大宅賞(雑誌部門)を受けた神山典士のことだ。

 取材が続くうち、森と佐村河内は「守さん」、「達也さん」と呼びあう仲になる。「信じてなきゃ撮れないですよ。心中ですよ」と無防備なことを森は口にするし、妻の香も森について「同じ船に乗っているようなものだから」と身内意識を隠さない。この異様なベタつき感はなんだろう。ドキュメンタリー制作論としてよく語られる「取材者と取材対象の適度な距離感」などどこ吹く風だ。例えば東海テレビのドキュメンタリー映画は、世間から指弾された人物を好んで取り上げるのは森と同じでも、この距離感の取り方が絶妙だ。

 騒動後もついてきてくれた妻への愛を佐村河内に語らせ、涙ぐませるシーンもある。「実は良い人、良い夫婦」の方向に提灯を持つ演出意図があざとい。そうまでして佐村河内の肩を持つならば、彼の発言に何度も怨嗟の的として名前が出る新垣と神山に、反論の機会を提供するのは表現者としての常識だろう。この作品がドキュメンタリーとして成立するか否かの分水嶺は、まさにそこだった。しかし、森は2人を深追いせずアプローチをあきらめる。森によれば、新垣は事務所の拒否、神山は多忙が理由とのことだが、少なくとも取材開始から映画の公開まで、時間はたっぷりあった。

 ドキュメンタリー未満の作品をドキュメンタリーらしく見せるため、森は映画の最終盤に仕掛ける。佐村河内にシンセサイザーで「作曲」をさせたのだ。終始、カメラの眼が監視する。できあがった「作品」に妻も目を閉じてじっと聞き入る。さあどうだ、これでもFAKEか、と森はいいたいのだろうが、佐村河内には、かつてアマチュアバンド時代にシンセで作曲した経験があるのは周知の事実。しかもシンセでは音源次第で、クラシック風なオーケストレーションを機械が勝手にやってくれる。ピアノが弾けなくても、楽譜が読めなくてもいい。観客中、そうしたDTM(デスクトップミュージック)のメカニズムを知る人は圧倒的少数派だろうから、佐村河内は得点を稼ぎ、隠し玉の効果はあったかもしれない。しかし、事務所のプロフィールに「10歳でベートーヴェンやバッハを弾きこなし」と書いて金儲けに利用した男を、自分はペテン師と呼ぶし、その認識は今後も揺らぐまい。
 
 それにしても森達也とは何者なのか。ノンフィクション賞の選考委員になったり、番組コンクールの審査委員に名を連ねたりするのは、何が評価されてのことか。どんな自負があって引き受けるのか。さっぱりわからない。文章や発言はヒューマニズムや人権に寄りかかった凡庸で稚拙なものだし、ドキュメンタリストとしての手腕にも疑問符がつく。ただ、「FAKE」に話を戻せば、人々の耳目を集めるために、計算づくで、世間の99%を敵に回した人間に一方的な肩入れして見せたとすれば、皮肉な言い方だが、森のマーケティング戦略は図に当たったことになる。映画館は混んでいたのだ。次回監督作ではショーンKにでも密着するのだろうか。  
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