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巨魁・児玉誉士夫の汚名と宿願

Posted by Ikkey52 on 15.2016 現代史   0 comments   0 trackback
 人の評価は棺桶の蓋が閉まって初めて定まるといわれる。例えば、世上、児玉誉士夫という人は外国企業から賄賂を取り、日本政府の既定方針を捻じ曲げた「悪徳金権政治ブローカー」として記憶されている。その印象はほぼ全て、ロッキード事件に負う。特に、国会の喚問からも、特捜検察の捜査からもひたすら逃げ回った往生際の悪さは、他のどの被告より際立っており、一面識もないポルノ男優からセスナ機によるカミカゼ攻撃を受けるなど、その村夫子風な容貌は国民的怒りの的だった。

 歴史、特に現代史は新発掘の資料によって更新される宿命だ。ロッキード事件発覚当時は、「金権首相の馬脚」、「独自の石油戦略をとる田中政権へのアメリカの鉄槌」など、尤もらしい解説が新聞報道を中心にあって、大多数はそれに納得してきた。しかし、アメリカ政府機関の情報公開制度を利用してCIAをはじめとする公文書、極秘メモを広く渉猟し、日本の公許戦中戦後史に書き換えを迫ってきた早大教授有馬哲夫の登場以来、ロッキード事件の評価もそれに連座した児玉誉士夫の位置づけも変わってきた。

 そもそもアメリカの法では、自社製品売り込みのために外国でしかるべき人物にリベートを払うのは犯罪ですらない。事件報道の一環でそれを報じたメディアはあったが、ほとんど無視された。児玉はロッキード社の利益のために活動し、成功報酬を受け取った。マネーロンダリングにも協力したか、利用されたかした形跡がある。それらに違法性があったとしても、戦争中に掴んだ大陸のレアメタルを元手に戦後財を成し、政治プロデューサーに君臨していたころの児玉なら、簡単にもみ消せたはずだ。ロッキード事件当時、児玉はもう政治プロデューサーと呼べなかったが、その座に復帰すべく資金蓄積を急いでいたのだ。

 古い理解では、児玉はコードネームまで持つCIAエージェントとして捉えられていたが、正力松太郎がそうだったように、あるときはCIAに寄り添い、あるときはその利害に反して動くしたたかさを持っていた、と有馬は見る(『児玉誉士夫 巨魁の昭和史』)。右翼の鉄砲玉から出発した児玉だが、戦後は一貫して日本の再軍備を果たしてくれる政権誕生に向けて工作した。それは冷戦下のアメリカの利害とも合致していた。最初に児玉が推したのは鳩山一郎だったが、首相の座に就いて間もなく、日ソ国交回復を優先させるようになり、次に重光葵に目を付けたが急逝されてしまう。

 60年安保改定に情熱を燃やす岸信介に、肌合いの全く違う児玉が期待したのは、幕末の不平等条約並みの旧安保を日本側から破棄できるように改めることで、再軍備の道を拓こうとの戦略だった。そのために社会党にも気脈を通じ、分裂した民社党にも金銭的な肩入れしたことがCIA文書で裏付けられている。岸辞任後は、池田、佐藤と再軍備に無関心な政権が続く。児玉は、河野一郎、大野伴睦と結んで政権獲得を目指すが、自民党で多数派を形成できない。児玉がやっと見出した次の首相候補こそ中曽根康弘だったのだが、海の向こうのアメリカで、知らぬが花だったロ社の海外不正送金の中味が、ウォーターゲイト事件の余波にビビった会計事務所によって上院小委員会に暴露され問題化する。本来、白と認定されていたのに、である。議会に呼びつけられたロ社の売り込み戦略司令塔、コーチャン副会長が追い詰められて、洗いざらい証言するのを児玉はどんな思いで聞いたか。

 政治プロデューサーとしての児玉は、ダーティなカネを作りはしたが、それを惜しげもなく見込んだ政治家につぎ込み、私腹を肥やさなかった。彼の三男が覚えている父親は、いつも庭の草取りをしていて、使用人に間違われたこともあったという。一面の真実として受け止めてもよさそうだ。児玉が一貫して追求した日本の自主防衛も、占領期を引きずったアメリカ軍駐留体制の解消が狙いで、軍国主義への郷愁などではなかった。

 それにしても昨今の政治家たちのスケールの小ささはなんだろう。象徴は、政治資金の私的流用など致命的問題でもないのに、言い逃れに終始した都知事桝添要一の小心さだ。一方、外遊でやれファーストクラスに乗った、やれスィートルームに泊まった、と政治家の動きを妬み嫉みの目でしか見ない有権者たちも浅ましい限りだ。児玉のような人物が暗躍していた時代のほうが、この国はむしろまともだったのかもしれないと感じている。
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