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映画『扉をたたく人』から名作『質屋』を想う

Posted by Ikkey52 on 04.2016 映画   0 comments   0 trackback
 佳作の誉れ高い映画を一本観終えたあとで、かつて観た名画がしきりに思い出されるという不思議な感覚がいまも続いている。佳作とはトム・マッカーシー監督の『扉をたたく人』(2009)であり、名画とはシドニー・ルメット監督の『質屋』(1968)だ。

 『扉をたたく人』の主人公ウォルター(リチャード・ジェンキンス)はコネチカットの大学教授だが、学生指導にも研究にもまるで身が入らない初老のダメ教師。妻に先立たれ、すっかり心を閉ざしていた。学会出席でニューヨークに出てきたのも、他人に貸していない家具付き別宅の準備があるとはいえ、大学側に強く迫られたからにすぎない。夜、別宅に帰り着いてみると、見知らぬシリア人青年タレクとセネガル人女性のカップルが住みついているではないか。騙されて入居した2人は不法滞在者で、泊まり先もなく警察沙汰を恐れていた。ウォルターは気まぐれから2人に当分の間の同居を許す。シャンベ(アフリカン・ドラム)奏者として食べているタレクは感謝の印としてウォルターにシャンベを一本プレゼントし、それをきっかけにウォルターはタレクからシャンベの手ほどきを受けるなどして関係を深める。だがタレクは地下鉄駅で無賃乗車を疑われ、ウォルターの目の前で警察に逮捕されてしまう。タレクはテロリストの容疑でも調べられ、入国管理局の拘置所に移される。ある日、ウォルターの別宅を訪ねてきた美しいアラブ系の女性はタレクの母親だった。入国時の経緯から拘置所に行くのがはばかられる母親にかわって、ウォルターはこまめに面会に行き、必死に釈放を働きかける…。

 一方、『質屋』で心を閉ざしているのは、ニューヨークの下町で店を張る質屋の店主ソル・ナザーマン(ロッド・スタイガー)。彼もまた戦前はポーランドの大学教授だったが、ナチスのユダヤ人狩りに遭い、妻子は殺され、彼も九死に一生を得てきた。時折、禍々しい記憶のフラッシュバックに悩まされ孤独なソルだが、プエルトリコ人の元気な若い店員ジーザスからは商売の先生として尊敬されている。あるとき、ジーザスは街で知り合ったゴロツキ3人組に唆されて勤め先の質屋に押し入る羽目になる。3人組がソルに向けて拳銃を発射した瞬間、ジーザスはとっさにソルをかばって死ぬ。ソルは長年押さえてきた感情を大爆発させる。同時に凍り付いていた心が解けていくのを自覚する。

 『扉をたたく人』と『質屋』は、ともにニューヨークを主な舞台とした現代劇として制作されたが、2本の映画の間にはおよそ40年の時差がある。『質屋』の白黒フィルムに映り込んだニューヨークはベトナム戦争の硝煙の臭いが微かにするし、ホロコーストの終焉から20年ほどしか経ていないため、肉親を奪われたユダヤ系市民の呻吟も聞こえていたはずだ。一方、『扉をたたく人』の借景には9・11アメリカ同時多発テロ事件と対アルカイダ戦争があって、シリアからやってきた不法滞在者というだけで、ニューヨーク市警は社会防衛を優先して身構えようとする。2本の映画の共通点はいくつもあるが、第三世界出身の若者との関わりが結果として、心を閉ざした主人公の目覚めを促すという構造には、たしかに重なる部分があるのだろう。
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