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ある沖縄戦秘話とマスコミタブー

Posted by Ikkey52 on 28.2016 ジャーナリズム   0 comments   0 trackback
 この冬、政治問題となって久しい辺野古周辺を初めて歩く機会があった。キャンプ・シュワブのゲート前には反対派のテントが幾張も並んでいたが、座り込んでいたのは団塊の世代前後と思しき年齢の人たちがほとんどで、熱気も乏しい。県民総ぐるみで反対に立ちあがった沖縄、怒りで燃え上がる沖縄…。振り撒かれたそんなイメージは現実なのか。

 衝撃的な沖縄戦秘話を教えてくれたのは、札幌の大学生たちが制作した短編ドキュメンタリーだった。終戦直前、沖縄の慶良間諸島の阿嘉島での出来事だ。停戦交渉を呼びかける米軍に島の日本軍守備隊が応じて、浜辺で話し合いを持った。昼に差し掛かってなお交渉はまとまらなかったが、米軍側が共同の昼食を提案、いざとなれば援護射撃するために木陰に隠れていた兵も降りてきて、提供されるがまま米軍糧食を一緒に食べた。その日は物別れということで、野田隊長ら日本側が陣地に引揚げようとすると、米軍側通訳の兵士2人が同行を求めて来たので、連れて帰り陣地泊させた。翌朝日本側は再び海岸にきて、降伏拒否を通告。ただし、米軍への攻撃は行わない、島民は軍規に縛られない、と付け加えた。通告を受けた米軍クラーク隊長は、残念がりながらも「それぞれの神にここで祈りをささげようではないか」と提案。日米両軍兵士数十人が砂浜に座り込み、脱帽し瞑目したというのだ。なんとその瞬間の写真が残っていた。

 東条英機が陸相時代に定めた戦陣訓によって、「生きて虜囚の辱めを受けず」と厳重に戒められていた当時の日本軍では、集団降伏などまずありえなかった。敵との直接交渉しただけでも極刑ものだ。ノンフィクション作家の本田靖春によれば、この衝撃の事実は、1985年に沖縄タイムスが初めて報道し、2年後にはTBSの「報道特集」が大々的に取り上げた。

 しかし、大学生たちが沖縄でどう調べても、阿嘉島の「日米兵士の昼食会」について語り継がれている様子がない。島の人たちさえ知らない。歴史の黙殺が行われているのではないか、と大学生たちは疑い、地元有力2紙のうちのひとつに幹部を訪ね、カメラを向けた。阿嘉島の奇跡に話が及ぶと、幹部は突然カメラの電源を切るよう要求、「軍と軍とのことであり、報じるに値しない」と断じた。地元テレビ局に回ると、報道局次長がカメラ取材に応じてくれたが「みんなで信じていたい沖縄戦の方向で表現するほうが、情報の送り手も受け手も楽だ」と本音を漏らした。地元を支配している住民感情(のようなもの)にあえて逆らう報道は難しいと言うのだ。

 本田靖春は、阿嘉島に触れたエッセイで、「沖縄戦に取材した記録物には、誤りが少なくないようである。<中略>その原因の一つに、記述者が住民感清にあまりにも忠実であろうとしすぎて、つい事実から目をそらしてしまうという面があるように思われる」と書いた。http://keybow.co/honda/akajima2.html

 戦後沖縄の住民感情を支配したのは日本軍人を絶対悪とする沖縄捨石論だ。しかし青山繁晴によれば、慶良間諸島に米軍が襲いかかった日、特攻第一号となった伊舎堂用久(いしゃどう・ようきゅう)大尉は、郷里を守るべく出撃した石垣出身者だった(WILL4月号『祖国の沖縄再び』)。沖縄県民もまた家族から出征兵士を出していた記憶は、「極悪非道の日本軍と無辜の沖縄一般住民」という二項対立の構図にとっては不都合な真実だ。そもそも彼の地が捨石だったならば、沖縄守備にあれほど多くの兵士たちが日本各地からつぎ込まれ、散って行かねばならなかったのか。

 「封印されるべき歴史があっていいとは思わない」。大学生たちが苦しみながらたどり着いたドキュメンタリーの結語に頷かざるを得なかった。そしてマスコミ・タブーが戦後70年を経ても消えない特異な言論風土に、沖縄の苦悩の一端を垣間見る思いがした。
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