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「汚染水タダ漏れ」とフクイチ報道の退嬰

Posted by Ikkey52 on 11.2015 原発・ジャーナリズム   0 comments   0 trackback
 台風18号に伴う大雨で鬼怒川の堤防が決壊し、住宅が押し流されるショッキングな映像が流れた9月10日。だれもが思わず4年半前の大津波の悪夢を思い出したろう。同時に、栃木、茨城両県を覆った分厚い雨雲が、福島県にも懸っていることに注意を向けたかもしれない。こうした天候条件下で、フクイチでは汚染水の垂れ流しが避けられない、と想像するのは易しい。そして、案の定の事態が起きてしまった。

 ただし、報道はきわめて薄い。10日の夕刊段階で「原子炉建屋周辺の雨水などを集める『K排水溝』の水が、堰(せき)を越えて外洋に流出した」と9日の状況を報じたのは、自分の知る限り東京新聞だけだ。それによると「K排水溝をめぐっては2月、東電は溝を流れる水に高濃度の放射性物質が含まれ、外洋に流れているのを知りながら、問題を放置していたことが発覚。港湾内に注ぎ込むよう、溝を付け替える工事を始めた。ただ完了までまだ半年以上かかる見込み」だという。「1時間に14ミリ以上の雨が降ると水が堰を越えてあふれる」と計算していたようだが、東電の予想を裏切って「短時間でまとまった雨が降っても流出することが判明。9日も14ミリには達しなかったが、2時間半にわたってあふれたという」。

 「東電は、汚染水減らしのための地下水放出では、放射性セシウム137で1リットル当たり1ベクレル未満など厳しい基準を設けているにもかかわらず、K排水溝問題では数百ベクレルの汚れた水が流出しても対策を取れずにいる」というのだから打つ手なしなのだろう。秋の日本列島は台風の季節であり、雨量が増えるのが常識だ。まして相手は高濃度の汚染水。「工事の途中だった」という言い訳が許されるはずもない。ちなみに、今年2月に漏れた汚染水には、1リットル当たり放射性セシウムが2万9400ベクレル、ストロンチウム90などのベータ線を出す放射性物質も同5万2000ベクレル含まれていたという。http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/ef22fe87b71ce719cdaeaf8e6a3ca185
 政府が東電に命じていたのは、今年3月末までの汚染水処理完了だが、そのメドは全く立っていない。東京五輪招致時に首相として行ったフクイチの「アンダーコントロール」発言に関して、安倍は謝罪も撤回も拒否している。

 それにしても、この頃のマスメディアのフクイチを巡る対応は、あまりに鈍感で情けない。東電の恐るべき怠慢をなぜ鋭く告発しないのか。除染どころか、まとまった雨が降るたびに、施設周辺から出る汚染水があふれ太平洋の海水をどんどん汚しているのだ。つまりこれは復旧の遅れとは違う、新たな厄災の現出だ。恵みの海の一日も早い回復を願う地元漁業関係者の無力感は察するに余りあるし、海に県境はないから隣県の同業者たちも不安に慄いているはずだ。全うなニュース感覚があれば、そこに目を向けるのは当然なのに、そうなっていない。ことは原発是か非かといった根源的な報道姿勢の問題ではなく、東電も認めざるを得ない単純な事実関係なのだ。どこに報道を躊躇う必要があるのだろう。

 テレビの各ネットワークや全国紙は、東日本大震災や大津波被害の復旧復興とフクイチの処理過程を入念にカバーするため、一時はそれぞれ臨時支局を置いたし、臨時支局撤収後も、取材力を増強したまま近隣の支局体制を維持したり、社会部系で実績ある大物記者をその支局長に据えたりしてきた。死者まで出している台風被害を軽く見るわけにはいかないが、濁流に洗われた地域も水が引けば徐々に復旧に向かう。しかし、汚染水が流入した海は、そうはいかない。海洋生物の食物連鎖の問題も深刻だ。フクイチで現在進行形の禍々しい事態を直視し、微にいり細にいり報道を続けることは、マスメディアの存在価値を問われる責務ではないか。
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