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悪い噂…「縮みはじめた独裁者のミイラ」

Posted by Ikkey52 on 30.2014 近現代史   0 comments   0 trackback
 情報鎖国を続ける北朝鮮国内の動きを、細かいレベルで伝えてくれる貴重な存在だったネット新聞「デイリーNK」の日本版が、来月から休刊することになり、おおいに戸惑っている。http://japan.dailynk.com/japanese/index.php
 韓国の市民団体、北朝鮮民主化ネットワークが運営しているもので、日本支社もある。特に市場や地方に関する情報の正確さについては、金正日の長男、金正男からお墨付きをもらっているほどだった。
 
 今月はこの「デイリーNK」で、「北で広がる金日成の遺体『腐敗説』」という記事に注目した。ちょうど20年前に死亡した独裁者の遺体は防腐処理を施されたうえ、平壌郊外の錦繍山宮殿の奥深くガラスケースのなかに横たえられ、参拝の対象となってきた。事実関係でいうと、参拝は金一族の偶像化を維持するための強制的なものなのだが、時間を置いて再び参拝した一般市民の中で、「首領様(金日成)皮膚が減った」「頭など体格が小さくなった」「黒がたくさん回るなど、色が変わった」といった変化が密かに取りざたされているというのだ。管轄する幹部ももちろん相当詳しく変形度合を把握しているようだが、かといって打つ手がないらしい。なぜなら、防腐処理は金食い虫。一度きりでは終わらず、それこそ永久に続く。年間に掛かる維持経費は80万ドルという。国の管理職でも世界最貧国なら目が回るはずだ。

 金日成の遺体保存は、ロシアのチームが手掛けたとされる。金日成の死の70年前、革命ロシアの科学者たちは、レーニンの遺体の永久保存という超難題に早急に解答を出すよう党中央から半ば脅しつけられ、はじめは冷凍保存を考えたが、組織破壊の進行は止められなかった。ホルマリン、アルコール、グリセリン、塩化亜鉛などの使用が論議されたが、どれも限界がある。結局、生化学者ボリス・バルスキーが、解剖学者ボロヴィヨフに協力させ、すでに2か月を経て腐り始めていた遺体をそれなりに復元してヴォロビヨフの発案したグリセリンと酢酸液に浸す方法で見事に処理した。

 ボリス・バルスキーの息子で、自らも保存チームに関わっていたイリヤが著した『レーニンをミイラにした男』の邦訳を出版直後にむさぼり読んだのはもう相当前のことだが、「デイリーNK」の記事からこの奇書のことを直ちに連想した。『レーニンをミイラにした男』は、遺体保存の技術解説だけが綴られているのではない。のちのルイセンコ学説に象徴されるように、科学が特定のイデオロギーに服従させられる社会の危うさを浮き彫りにする一方、継続的に行わねばならない遺体のメンテナンス作業のために、一つの研究所がまるごと必要になるような非効率が、平然と許される体制の異様さが細密に描かれていた。

 毛沢東やホーチミンも遺体保存されているが、使われているエンバーミングという技術はロシアが開発したものだ。自分がじかに拝んだのはレーニンと金日成だが、どちらも写真で知る顔立ちとは似ても似つかず、蝋人形のようで何やら嘘っぽかった。レーニンの場合、スターリンただ一人を除いて、当時の指導者に遺体の永久保存を支持する者はいなかったし、第一、故人の妻、クルプスカヤが強烈に反対した。唯物論者のとるべき道ではないとの理由で。
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