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21世紀のパリコミューン成るか…台湾立法院占拠と市民の連帯

Posted by Ikkey52 on 31.2014 世界   0 comments   0 trackback
 「立法院(内閣府)を学生が占拠」とのニュースにも驚いたが、世論調査では「約70%の市民が学生運動の支持」という状況にはさらにびっくりさせられた。台湾の話だ。日本のマスメディアの取り上げ方は、たいていがさらりとしたトピックス扱いで、もどかしい。何が起きているのか。

 そもそものきっかけは、台湾が中国との間で締結を急いでいたサービス貿易協定問題。相互に市場開放分野を設定して、経済関係をいっそう深めようという狙いこそ聞こえがいいが、痛みを伴う国民がいるなかでの協定締結には反対論も多かった。もちろん、交流の度が過ぎれば、台湾の独立性が危うくなる。例えば本土返還後の香港を見よ。一国二制度の建前であったはずが、政治、言論の分野から年々自由度が失われているのはあきらかだ。「香港の罠」をよく知る学生層が反応しないわけがない。立法院占拠が、支持基盤らしきもののない少数の跳ね上がり学生の行為であれば、機動隊につまみ出されて終わりなのだが、簡単にそうできないほど学生への支持は広がりを持っていたようだ。

 読売新聞によると、30日に台北で行われた抗議集会の参加者は主催者発表で50万人、警察の調べでも11万6000人に達した、という。動員力は桁外れだ。総統府前の大通りを埋め尽くした学生らは「協定を撤回しろ」、「馬英九、辞めろ」などと気勢を上げた。台北の女子大学生(23)は、「台湾の産業にダメージが大きい協定の発効を許せば、中国にのみ込まれてしまう」と話した…。

 私の信頼するある情報源が、台北の大学で教鞭をとる日本人の発信を中継してくれた。現場近くにいる人物に違いなく、累を及ぼすわけにはいかないので、「S氏」と匿名にするが、立法院占拠とその支援に連日駆け回っている学生たちに対して、台北市民が示す熱い連帯ぶりがS氏の報告に活写されているので、一部を転載させていただく。

 …焼き芋の屋台に一人の人が買いに行くと、その屋台の主人は「申し訳ないね。この焼き芋は今から立法院の集会に参加している学生たちに届けてやろうと思っているんだ」。すると、そのお客は「あんたも貧しいだろうから、その焼き芋の代金を俺がはらってやるよ」と金を置いていく。夜遅く、集会やデモから帰る学生がタクシーをとめると運転手は無料で自宅まで送ってやる。電気屋の協力は、有名になったエピソードだ。立法院は窓が締め切られ、内部の照明は煌々と照らされ、しかもエアコンは動かないようにされているので、空気が悪く、しかも外でも30度に達する気候で蒸しぶろ状態。学生たちの健康を気遣って、医科大学や病院の教授や医師たちが何十人も常駐して健康管理にあたっているが、それでも過酷だ。見かねた電気屋が立法院に入り、エアコンが作動するように工事をしてやった。彼は一躍、台湾の人気者になった。そのような話は山ほどある…。

 うーん、これはひょっとして単なる政治的騒乱に終わらないサインかもしれない。李登輝、陳水扁と続いた台湾の血を継ぐ本省人総統のあとを受けて、08年に登場した馬英九は、香港生まれで本籍は湖南省という外省人。戦前から島に住んでいた人たちが、戦後やってきた外省人によって徹底的に苛め抜かれてきた台湾の現代史を、若い人たちがDNAとして血肉化していたとすれば、単なる外交政策に対する抗議運動を越えて、もっと大きな政治的うねりに発展することも十分ありうる。

 自分の知る台湾はたかだか台北市内にすぎないが、気取らない下町をえんえんとほっつき歩いて、つくづく人々の優しさ、謙虚さ、誠実さに心打たれた経験がある。あの名もない庶民が立法院占拠の学生たちを熱心に支えているとしたら…。そう思うだけで、ちょっと興奮してしまう。
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