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あえて遠景から眺める『アンネの日記』事件

Posted by Ikkey52 on 28.2014 事件   0 comments   0 trackback
 『アンネの日記』やその関連本が首都圏の図書館で次々に破られる陰湿な事件が続いている。犯人の動機は不明だが、貸出人に「日本のシンドラー」とされる杉原千畝の名がかたられている。反ユダヤ主義の誇示、あるいは日本人とユダヤ人の離反を狙った筋違いの嫌がらせとすれば、薄気味の悪い話だ。

 ナチスに侵された第二次大戦下のオランダで、駐留軍保安警察の目を逃れて隠れ住むことを強いられたユダヤ系少女の悲劇は、戦後日本の教育を受けた多感な少年少女の間で、共通の通過儀礼のように読み継がれてきた。一方、全世界で2500万部も売れたという『アンネの日記』には以前から真贋論議がつきまとってきた。アンネはオランダ語を話すごく普通の13歳の少女だったが、日記の原文は古典的ドイツ語で綴られているという。しかも内容が大人びているとの指摘は早くからあった。

 1980年まで生きたアンネの父オットー・フランクは生前、メディアの取材には応じても、日記自体の接写を頑として許さなかった。1988年になって、アンネがアメリカの友達に宛てた手紙が見つかり、日記との筆跡比較が可能になった。素人目にも、まるで別人だ。http://www15.ocn.ne.jp/~oyakodon/newversion/afrank.htm
 アンネ名義の日記のゴーストライトをオットーから依頼されたのは、メイヤー・レビンというユダヤ人作家とされ、オットーが見返りに用意した破格の金の額まで報じられている。『アンネの日記』が仮に創作であったとしても、多くの読者の心を捉えてきたことは事実だし、アンネが身柄を拘束されたナチスの収容所で腸チフスにかかり死亡したことも動かしがたいが、熱烈な愛読者たちによる贋作説への反駁が論理的に堅牢かといえば、私にはどうもピンとこない。

 『アンネの日記』事件は海外でも報道されているが、アメリカのユダヤ人団体サイモン・ヴィーゼンタール・センター(以下SWC)は20日、「強い衝撃と懸念」を表明、「この事件は、ホロコーストの記憶を侮辱する組織的な試みだ」と強く非難した。またしてもSWCがしゃしゃり出てきたのか、とげんなりしたのは私ひとりではないだろう。

 思い出すのは、1995年の『マルコポーロ』事件。文藝春秋発行の雑誌『マルコポーロ』が、ホロコースト否定論に立った内科医西岡昌紀の寄稿記事を掲載したところ、SWCが噛みつき、同誌を廃刊に追い込んだばかりか、当時の社長のクビまで取っている。言論には言論で立ち向かうのがまともな社会のルールのはずだが、SWCは反論掲載の申し出を拒否、はじめから広告出稿ボイコットを全世界に呼びかけ、同社を兵糧攻めにした。これに対し、江川紹子ら多くの言論人は、言論の自由にとって由々しい大問題だとして論陣を張ったが、むなしかった。以来、ドイツ敗戦から半世紀を経てホロコーストを再検証しようという意義深い試みは、日本のマスメディアから完全にタブー視されている。そもそも『マルコポーロ』事件の幕引き経過すらいまだに詳細は藪の中だ。薄気味悪いといえば、こちらも十分薄気味が悪い。

 記事執筆者の西岡と協力者であるベテラン・ジャーナリストの木村愛二が、SWCの圧力や既存メディアの黙殺に屈せず、その後も持論を曲げていないのは救いといえば救いだが、『アンネの日記』をはじめ、ホロコースト、ガス室、シオニズム、ナチスのユダヤ人政策などに、新しい視点からアプローチしようとすると、「ネオナチ信奉者」のレッテルを貼って潰しにかかる者が必ず現れる。ユダヤ人に絡む現代史の「定説」を頑なに覆させまいとする闇の勢力でもあるのか。排外主義の臭いが漂う圧力団体SWCの正体もよくわかっていない。
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