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スウィート・ソウルの老いと円熟 ~ザ・スタイリスティックスの今

Posted by Ikkey52 on 12.2013 音楽   0 comments   0 trackback
 ブラック・ミュージック4人組のボーカルグループ、「ザ・スタイリスティックス」日本ツアー2013の初日に出かけた。9月にはハワイ、10月末からイギリス、アイルランドを回った。12月はクリスマスまで日本の舞台に立ち、1月14日からはまたワシントン、ニューヨークと巡る。ディスコ系イージー・リスニング風の曲が大半とはいえ、結成45周年のグループにはオリジナルメンバーが2人いて、連夜ステージで休みなく歌ったり踊ったりする。御年を考えるとたいへんな重労働だ。

 純白のスーツに全員が長身細見をつつみ、緩く揺れるだけで美しかったかつてのイメージはない。若いジェイソン・シャープの新加入はあったものの、全体として衰えは隠せない。バックバンドの座組みに、3台もキーボードを配したのは、落ちたコーラスの声量をさり気なくカバーする意図と見た。実際、ファルセットのリードヴォーカル、ハロルド‘イーバン’ブラウンに次いで、ソロをとる機会が多かったオリジナルメンバーのエアリオン・ラブは、高音になると声が伸びず、いかにも苦しそうだった。もちろん、黒人コーラスであり、お約束の振り付は全曲で見られるが、疲労を抑えるためか、鋭く速い動きは一切封印されていた。それでも最後まで楽しめたのは、たとえ’補助具’があったにしても、持ち味の熟成したハーモニーが健在だったから。季節柄、クリスマスソングを交えるなど旺盛なサービス精神も心憎かった。

 グループとしての息が長いのは、「You Make Me Feel Brand New」や「Can't Give You Anything」というエバーグリーンの大ヒット曲に恵まれていたためだろう。ソウルといっても「若さ爆発系」で出発していたらここまで持ったかどうか。スウィート・ソウルという方向性も長距離走を可能にした。それでも45年の間にはお定まりの内紛があり、頻繁なメンバーチェンジもあった。いまでも「New」の形容詞を冠した「スタイリスティックス」がもうひとつ並行して存在する。まるでビーチボーイズだ。本家の公式HPを見ると、チケットを買う前によく確かめてくれ、と注意書きがあって可笑しかった。「New」のほうは、本家の初代メンバーでファルセットを担当していたラッセル・トンプキンスJr個人の、お抱えバックコーラスという趣きらしい。

 本題を逸れるが、自分のブラック・ミュージック体験で忘れられないのは、いまはなき大手町の旧サンケイホールで「サム&デイブ」のステージを堪能したこと。中3の春、1人で出かけた。「Hold On, I'm Comin'」でブレイクしたR&Bの2人組「サム&デイブ」のステージでの印象は、汗、汗、汗。激しい動きの連続で、2人の纏った明るい緑色のシルクのブラウスが汗に濡れ、ぴったりと黒い地肌にくっついていた。丈短めのマンボズボンで踏む高速ステップ、振りまくるヒップ…。獰猛なブラスセクションの金管音のなかで、黒人男性のセクシーさとはこういうものか、とガキながら感じ入った。最前列に福田一郎や湯川れい子ら評論家連が陣取っていた記憶もある。
 
 思えば自分が「サム&デイブ」の東京公演を見たころ、「ザ・スタイリスティックス」はすでにフィラデルフィアで活動していた。フィラデルフィアという土地柄について、「黒人人口が多い割にソウルミュージックは不毛」としている資料もあるが、いわゆるディスコミュージック最初の大ヒット、「ソウル・トレインのテーマ」はここで生まれた。曲の原題は、その名もTSOP (The Sound of Philadelphia)。どうしてどうして、不毛の地とはとても思えない。
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