FC2ブログ
Loading…

ターンキー契約とフクシマ事故~有馬哲夫『原発と原爆』

Posted by Ikkey52 on 18.2013 書評・原発   0 comments   0 trackback
 御免なさい。私事多忙で雑記帳のアップをしばらくサボってしまいました。

 大津波で全電源喪失に陥り、冷却系が止まったため、炉心溶融と水素爆発にまで至った福島第一原発は、アメリカの軍産複合体GE社のマークⅠ型原子炉プラントをそのまま輸入したものだ。地震や津波が多い日本での立地をあらかじめ織り込んで設計し直された訳ではない。 
通常は発注者側が立地点の環境にあわせて、メーカーサイドにあれこれ設計変更を求めるのが自然だが、東京電力はそうしなかった。文字通り直輸入だった。GE社との契約は、いわばスイッチをひねればいいだけの、ターンキー契約になっていたからだ。
 出来合いのプラントを予定の敷地内に納めるために、東電が行ったのは、現地の地形に手を加えることだった。原発の敷地は小高い丘を崩して作った。原子炉に冷却水を送るタービン建屋は、原子炉建屋そばの海側の低いところに置いた。そして、2年前のあの日、原子炉建屋とタービン建屋は大津波の直撃を受けた。東電がGE社と結んだターンキー契約こそが事故の真の原因だ、とする説に対して、『原発と原爆』の著者有馬哲夫は「あくまで結果論に過ぎない」と断じるが、私見では、いくつかある原因のひとつだったと言っても、間違いではないと思う。

 では、東電はなぜ、GE社とのターンキー契約を選択したのか。それは、日本最初の原発である東海発電所ができるまでのドタバタ劇を横目でじっと睨んでいたからだ。その轍を踏むまいとひたすら強く志向したからだ。
東海発電所を建設した日本原子力発電という民間会社は、1959年末にイギリス企業と原子力発電所建設契約を締結、5年後の稼働を見込んでいた。しかし、黒鉛ブロックを高く積み上げるコルダーホール型原発であったために、耐震設計が大問題になったほか、イギリスから持ち込んだ原子炉格納容器にヒビが見つかったり、日本側のしつこい設計修正要求にネを上げた受注先が原発建設業務から撤退するなどの予期せぬ出来事が続き、正常運転まで10年近い歳月と膨大な建設費を費やすことになった。
 見落とせないのは、こうした長期にわたる目算違いやトラブルが、マスメディアにほとんど取り上げられてこなかった事実だ。日本原子力発電の経営者が、あらゆる努力を傾けて当初計画の大幅遅延の原因隠蔽に奔走した跡がある。それでも、首都近郊といってもいい東海村での国家的重大事業の成り行きを、天下のマスコミがキャッチできなかったはずがない。21世紀になるまで機密指定されていた内外の文書を読み込んで、現代史の闇に切り込んでいる大学教授兼ノンフィクションライターの有馬に言わせると、「知っていたにも関わらず、報道管制のため報じなかったとしか考えられない」ということになる。東海村の発電になぜイギリス製のプラントが選らばれたか、有馬によれば、その裏には戦後日本の核武装戦略が隠れているのだが、そのあたりは別項に譲りたい。
スポンサーサイト




  • password
  • 管理者にだけ表示を許可する

trackbackURL:http://ikkey52.blog27.fc2.com/tb.php/118-9d819fa0

プロフィール

Ikkey52

Author:Ikkey52
ジャーナリスト 札幌生まれ
父方は、奈良十津川郷系+仙台伊達藩亘理系。母方は東三河豊橋系+肥前鍋島藩系+加賀藩系

ショッピング

トラベル

オークション

最新トラックバック

ラビリンス

デラシネ通信

ブログランキング

ブログランキング

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR