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あえてあげつらう北海道新幹線の「不都合な真実」

Posted by Ikkey52 on 28.2015 政策   0 comments   0 trackback
 2016年3月の開業まで秒読み段階に入った北海道新幹線。物事には光と影があるわけで、その利便性や経済効果などを予測するに当たっては、一方的なちょうちん持ちにならないよう、指摘すべきは指摘するのがメディアの大事な役割のはずだが、地元の報道を見る限り、どうも大政翼賛会的になっている。

 「昭和の三代バカ査定」のひとつと揶揄された青函トンネルが、やっと最終目的である新幹線路線に供される歴史的な達成感はさておき、九州新幹線鹿児島ルートの全線開通や北陸新幹線の金沢延伸の際に伝えられたバラ色の成功譚を、そのまま北海道新幹線開業の効果として期待していいものか。

 北海道新幹線には「ふたを開けてみると…」という話があまりに多い。
 そもそも函館は空港が街に近くて便利な都市だ。東洋経済オンラインによると、東京-新函館北斗間の最短所要時間は4時間2分。空路に対して競争力を持つのに必要とされる4時間を切れなかった。沿線から函館を目指す場合、新函館北斗に着いても、函館はさらに18キロも南だ。アクセス列車「はこだてライナー」に乗らねばならない。それでいて函館は、幕末開港以来続いてきた「北海道の玄関」という代名詞を奪われるのだ。
 北海道新聞は、函館-青森間で新幹線を利用した場合、新たに2度の乗り換えが必要となるため、現在の在来線直通特急の最速1時間50分からの短縮効果はほとんどない見通し、と伝えた。青森と新青森も離れているのは御承知の通りだ。
 本数問題もある。開業時の本数は1日10往復止まり。東京-新青森間を「はやぶさ」が1日17往復していることを考えると、新青森から北はまるで支線扱いだ。地元にとっては大誤算だろう。

 九州新幹線鹿児島ルートのゴールは人口密集地の福岡、北陸新幹線延伸のそれは、観光拠点として抜群の吸引力を持つ金沢だ。北海道南端の過疎地を終着駅とする北海道新幹線の開業は、前二者とは全く意味合いを異にする。札幌で見られるのはお仕着せの歓迎ムードで、道東、道北に至っては、これまでにもまして交通不便な土地と見られることに危機感さえある。むしろ状況としては、2002年に青森県南端に到達した東北新幹線八戸延伸に近いのかもしれない。

 国の予算編成のピークと重なるクリスマス前後、霞が関、永田町周辺にはかつて、地方の首長や議員、各種業界団体代表らが続々上京し、入り乱れ、激しい陳情合戦を繰り広げたものだ。自分も取材者の端くれとして、その渦中で走り回ったことがあるが、80年代の整備新幹線早期建設期成会場の熱気は忘れられない。地方有力者らの陳情組を追いかける形で全国から会場に集結した100以上の取材カメラクルーが見つめる壇上には、「趣味は田中角栄」といってのけた忠臣、二階堂進の紅潮した顔があった。鹿児島選出議員だった二階堂こそ、新幹線でおらが町、おらが村を豊かにしたいという、地方の願望の切実さを痛いほどわかっていたのだろう。

 あれから30年…、日本はいま産業構造の変化と人口減が絡み合った「地方消滅」の危機に直面する。過疎化などという生易しいレベルではない。そんな環境下だ。中央との時間的距離を縮める陸上交通網の整備が、どの地方にとっても例外なく景気刺激の特効薬になると無邪気に信じるわけにもいかない。
 日本列島改造論の文脈のなかにあった整備新幹線はやっと津軽海峡を渡ることになるが、北海道新幹線の本来の区間は新青森-札幌間の360.3キロであって、今回開通するのはその4割に過ぎない。札幌延伸は2030年の見込みだが、航空機に太刀打ちできないことがすでにはっきりしてしまった以上、あらためて建設費のコスパが問われるのは必至だし、新函館北斗以北はトンネルまたトンネルの金食い虫だ。
 そんななかでいま、函館は札幌よりも仙台に近くなる、などといわれても、大方の人々はそのメリットに実のところ懐疑的なのではないか。
  

プロフィール

Ikkey52

Author:Ikkey52
ジャーナリスト 札幌生まれ
父方は、奈良十津川郷系+仙台伊達藩亘理系。母方は東三河豊橋系+肥前鍋島藩系+加賀藩系

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