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「放射能アセス」がネグられた「供用後の原発」

Posted by Ikkey52 on 30.2015 原発   0 comments   0 trackback
 悪臭を放つ施設の建設はダメ、という法律ができたとしよう。計画段階の事業は厳しくチェックされるだろうし、もちろん施設が稼働してからも法律の網は及び続ける。人の住環境を悪臭から守るのが立法の狙いならば、それが常識というものだ。

 福島第一原発事故の反省から、「放射性物質による汚染」を適用除外としていた環境基本法が見直され、関連して環境影響評価法とそれに基づく省令も改正された。ところが、29日の朝日夕刊「eコラム」を読んで愕然とした。発電所のアセスで何をやるかを定めた経産省の省令には、供用後の原発のアセス項目として「放射性物質」は入っていないというのだ。取材に対して経産省側は、「原発の新増設・リプレースは想定されていない」と説明したという。

 ちょっと分り難い記事だったが、経産省側の木で鼻をくくったような対応に対する記者の怒りは伝わってきた。つまり、「供用後の原発」という考え方については、「原発の新増設やリプレース(建て替え)の計画がそもそもないのだから、今からあえて項目としてあげる必要がない」という言い方がいかにも姑息なのだ。

 それはそうだろう。政府がまとめた2030年の電源構成案では、原発比率は20~22%。この水準を実現するには、「原発の運転期間は原則40年」としたフクイチ事故後の政府方針を破棄し、多くの既存原発を60年まで延命するか、あるいは新増設するかしか方法はない。記事によると、政府の電源構成案を決めた有識者会議で委員の東京理科大教授、橘川武郎は次のように発言したという。
 「本当にリプレースの話をしなくていいんですか。後出しジャンケンで、3年経ったら状況が変わるでしょう、みたいな話じゃまずい。ちょっとずるいかな、と感じざるを得ない」。

 ちなみに、アセス行政の総本山、環境省が出している「環境影響評価技術ガイド放射性物質編(平成27年3月)」にあたってみると、以下のような記述があった。即ち、環境影響評価法に定められた対象事業(法対象事業)には、放射能汚染地域での道路、鉄道建設等を想定した「土地の形状の変更等に伴い放射性物質が相当程度拡散・流出するおそれのある事業」に加えて「供用中に放射性物質を取扱いうる事業」があるというのだ。ならば当然、供用中の原発は後者にあたると読めるが、それには解説がわざわざ付されていて、「核原料・核燃料関連施設」は、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」の規制を受けるもので、環境影響評価法の法対象事業ではない、と明記されていた。

経産省令と環境省の環境影響評価技術ガイドとは巧みに辻褄が合わされていたわけで、経産省の欺瞞を撃つだけでは足りなかったかもしれない。それでも「eコラム」に『原発のアセス項目 ずるくない?』とのタイトルを掲げ、地味な記事との批判を恐れず、虫の目で法律・省令の密林に分け入って告発を行った記者の肩を持ちたくなった。
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Author:Ikkey52
ジャーナリスト 札幌生まれ
父方は、奈良十津川郷系+仙台伊達藩亘理系。母方は東三河豊橋系+肥前鍋島藩系+加賀藩系

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