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核燃料サイクル…各国の断末魔

Posted by Ikkey52 on 26.2013 原発・ジャーナリズム   0 comments   0 trackback
 福井新聞のHPがクリスマスイブに報じたところによると、政府は2014年度予算案で、日本原子力研究開発機構の高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)に維持管理・安全対策経費として本年度比14・3%増の199億円を計上すると閣議決定した。1万点を越す点検漏れがあった問題の対応だというのだが、このガラクタのような施設、今年5月には原子力規制委員会から事実上の運転禁止命令を受けている。この国の核燃料サイクル計画のお寒い内実が偲ばれる。

 森林文化協会の雑誌「グリーン・パワー」に、朝日新聞のシニアライター竹内敬二が、核燃料サイクルを巡る日独仏英の違いについて記事を寄せている。3・11の大事故が起きる以前、原発積極推進の読売、産経は別として、朝日も原発容認に相当傾斜していた。社論の≪Yes,But≫は、≪ミスや小事故に文句をつけても、原発の可否自体は原則として論 じない≫ところまで後退していた。その論陣の中心に、当時科学担当編集委員だった竹内がいたのを、自分は見逃していない。真摯なジャーナリストであれば3・11後、それまでの自論を恥じ、筆を折っても驚かないが、竹内は早業の「手のひら返し」で乗り切って見せた。いかにも鉄面皮のご都合主義で、とてもではないがジャーナリストとして信はおけないけれど、さすがに単純な事実関係にウソはなかろう。

 その竹内によると、「もんじゅ」の一日の維持費はざっと5000万円。それが何年も続いてきた。ドイツにも高速増殖炉はあったが、1991年の完成直後に放棄された。安全性を巡る訴訟を起こされて、採算がとれなくなったからだ。一方、「もんじゅ」の維持費は税金だから、日本原子力研究開発機構には採算性という発想自体がない。ドイツにも再処理によるプルトニウムが貯まっているが、「2020年までの原発全廃」が法制化されているので、ドイツ政府はウランとプルトニウムを混ぜたMOX燃料にして2016年までにすべて燃やし切る方針だそうだ。

 「原発大国フランスは、再処理工場やMOX燃料工場が大きな問題なく運営されている」と竹内が書くのは、毎年1200トン出る使用済み燃料のうち、1000トンが再処理され、MOX燃料にしたものが約20の原発で燃やされている、という意味からだ。だが、フクシマ事故のちょうど半年後に、南仏マルクールの廃棄物施設で核廃棄物を熱で溶かす溶融炉が爆発し、死者も出る重大事故があったのを忘れてもらっては困る。マルクール地区は、高速増殖炉フェニックスやMOX燃料工場、高レベル核廃棄物貯蔵研究施設などがブドウ畑のなかに点在している。自分には、かつて現地取材した体験があったため、事故のニュースに戦慄したのを覚えている。核燃料サイクルの肝となる高速増殖炉については、フランスもお手上げで、全く実用化のめどがたたない。フェニックスを越える大型のスーパーフェニックスをスイス国境近くにつくったがすでに閉鎖されて久しい。プルサーマル発電に使った使用済みのMOX燃料は、そのまま保管するしかない。またしても未来へのツケ回しだ。

 イギリスはもっとあきらめが早かった。74年に高速増殖炉の運転をはじめたが、核燃料サイクルは成立しないと見て、94年に閉鎖した。大規模再処理工場「ソープ」は存続したので、プルサーマルまでは実行しようとしたが、結局頓挫し、MOX燃料工場もフクシマ事故後に閉鎖した。再処理工場の「ソープ」も2018年には閉鎖がきまっている。「ソープ」にとって日本は多量の使用済み核燃料の再処理を発注してくれる最大の得意先だ。「ソープ」が閉鎖されるまでに、イギリスは自国分、外国分あわせて140トンもの使い道が定まらないプルトニウムを抱えることになるが、外国から受け取る高額な処理料金を使って自国分プルトニウムの処分費用を軽減しようと考えているらしい。

 いずれにしろ、こうして各国の事情を見てくると、原発というものは、未完成の技術であると同時に、後へ行くほど厄介なものを生み、そして積み残して行く迷惑施設であることが、あらためてよくわかる。
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Author:Ikkey52
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父方は、奈良十津川郷系+仙台伊達藩亘理系。母方は東三河豊橋系+肥前鍋島藩系+加賀藩系

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