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前代未聞の奇妙な要請…核のゴミ捨て場をめぐって

Posted by Ikkey52 on 26.2013 原発   0 comments   0 trackback
 11月25日付北海道新聞の記事に愕然とした。「核のゴミ」である高レベル放射性廃棄物の処分技術を研究する北海道の幌延深地層研究センターに関して、足踏み状態になっている地下350メートル以深の掘削と研究の継続を、地元の幌延町が国に働きかけるというのだ。

 「宮本町長と野々村仁・町議会議長が26日、文部科学省を訪ねて要請文を提出する。2011年の東京電力福島第一原発事故後、同施設の関連で幌延町が国に要請するのは初めて。施設を運営する日本原子力研究開発機構や処分を担う資源エネルギー庁の幹部とも会う」

 要請の中身は、「当初の計画通り地下500メートルまで掘削してほしい」という趣旨。当初計画を無視して深く掘っているというなら問題だろうが、浅いからといって文句をつける筋合いはないはずだ。ところが町は、施設が研究目的を遂げ、早々に閉鎖される事態に悪夢を見ていた。施設立地に伴って入ってくる税収増、補助金、雇用など様々な経済的恩恵が失われるからだ。前代未聞の奇妙な要請の背景には、辺境の過疎地特有のあせりがある。

 とはいえ、この奇妙な要請のタイミングは最悪だった。おりから、核のゴミ処分地がまったく決まらないことに業を煮やした資源エネルギー庁作業部会が、政府が主導して候補地を選ぶ方針を示した直後だったからだ。これまでのように自治体の応募を待つ方式からの大転換だ。自治体が住民の説得を担うのはたいへんだから、国が代わって説明責任を負う、という苦渋の決意表明なのだが、もしも住民の選択の反映に見えるのならそれに越したことはない。幌延深地層研究センターは、コールド施設(非核)とはいえ、いつでもホット施設(有核)に転用しうる。その立地自治体の町役場と議会のトップが揃って、「どうか施設をなくさないでほしい」と訴える構図を、国はどう見るか。きっと、拾う神が現れた、と狂喜するに違いない。自らの郷里の今を守ろうとして行った前代未聞の「奇妙な要請」は、自らの郷里の未来を半永久的に汚す前代未聞の「無責任な要請」になる可能性を孕む。

 考えるべきは、これまでなぜ、処分場を誘致する自治体が現れなかったか、だ。その理由を見定める必要がある。高レベル放射性廃棄物は数万年のオーダーで安定した保管が必要だ。地震の巣の上にある日本で、そもそも地層処分が可能なのか。「問題ない」を連発してきた原子力ムラの専門家たちは、原発直下の活断層をいくつも見逃してきたではないか。原発安全神話の崩壊は、いまさら言うまでもない。もう騙すことはできない。

 北海道新聞は別稿の社説で、「原発の利益を享受した世代は、原発が生み出したごみの後始末に責任がある。しかし、それが半永久的に危険で制御できないものであることを考えれば、少なくとも増やさないようにしなければならない。最終処分、暫定保管のいずれを選ぶにしても、脱原発が前提である。宗谷管内幌延町にある地層処分の研究施設に対し、道民はなし崩しに処分場に転用されることへの根強い不安を抱いている」と訴えた。地元の危機感は確実に高まっている。
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Author:Ikkey52
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