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海底津波計を無視した気象庁

Posted by Ikkey52 on 28.2011 防災   0 comments   0 trackback
 「日本に地震・火山学者は2000人いるが、津波研究者は多く見積もっても5人ほど…」
そんなショッキングな打ち明け話をしてくれたのは、岡田弘・北大名誉教授だ。火山学の権威が悔しがるのは、今度の大津波について、気象庁の官僚主義が、いたずらに人的被害を増やしてしまったという思いがあるからだ。
 
 岡田さんによると、地震の予知は本当に難しく、過去を調べて、500年周期で地震に見舞われてきた地方に400年も平穏が続けば、いつ地震が起きてもおかしくないと覚悟して警戒するしかない。つまり、予知連に集まる専門家連中に過度の期待などできない、と私なりに受け止めた。自然の猛威それ自体を避けるのは難しい。

 一口に地震といっても、沿岸部のものと、内陸(直下型)のそれでは、人命の失われるパターンが違う。内陸地震の場合は家屋や土砂の下敷きとなって命を落とす人が多いのに対し、沿岸部の地震は津波で多数の死者が出る。揺れによる突然の家屋倒壊やがけ崩れはとっさには避けられないが、津波は地震の直後に来るものではないから、津波到達地住民の避難を丁寧に行うことで、犠牲者の数はかなり減らせる、と岡田さんはいう。
 
 そもそも地震波に比べて、津波の速度はずっと遅い。震源がわかれば、沿岸への津波の到達時刻はかなり正確に見通せるし、海底に設置した津波計の数値と、津波が走る海底の地形、浜の地理的条件などを押さえれば、その規模さえかなり的確にとらえられる。

 ところが、東日本大震災で大津波警報を発令した気象庁は、沿岸の海底に設置した津波計のデータを一切無視した。それらが気象庁の機材でなく、東大地震研のものだったからだ。頑固に役所内のマニュアルに固執して作業をすすめた。その結果、気象庁が予想した津波の高さは、実際に到達したものの半分だったり、三分の一、五分の一だったりした。  

 しかもタイミングの悪いことに、気象庁は前の年に起きたチリ沖地震の際、典型的な「オオカミ少年」を演じてしまった。被害らしい被害がなかったにもかかわらず、大津波警報を日本の海岸線の広い範囲に発令し、読み違いを認めずに、ところによっては丸24時間以上も警報を出し続けたのだ。最終的に批判を浴びて謝罪に追い込まれたが、「気象庁は大袈裟で信用できない」、といった空気を醸成したのはまずかった。津波の高さの読み違いと、気象庁情報への信用失墜…。この二つが相乗効果をもたらした、といまは減災NGOに身を置く岡田さんは語気を強めた。

 気象庁が役人中心の組織になっているのにたいして、アメリカでこの種の役所を担っているのは、学者たち、研究者たちだ。だから科学技術とファクト(事実)に基づいて、マニュアルを越えた自分たちの判断をしようとするそうだ。
 リアルタイムの海底津波計データに目をつぶって、気象官僚たちはマニュアル原理主義の殻に閉じこもったままだ。東日本大震災の余震が一向におさまらないなか、減災の論議に気象庁改革の視点はどうしても欠かせない。
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Ikkey52

Author:Ikkey52
ジャーナリスト 札幌生まれ
父方は、奈良十津川郷系+仙台伊達藩亘理系。母方は東三河豊橋系+肥前鍋島藩系+加賀藩系

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